月極フランスガム花詩集4 9月と秋桜
9月生まれの
秋桜子さんは
3月生まれの
桜子さんのことを
すこしうらやましく思っておりました。

あの華やかな季節にいる彼女は
あの暖かな光の中で
大いに唄い笑い泣くことが
できるのであろうと想像しました。


秋桜子さんは天にお願いをしました。
「一度だけ、春に暮らしてみたいの!」

はたして秋桜子さんの願いは叶えられました。
普段ならば秋までに体力を蓄えるために
ねていなければならないところの秋桜子さんは
今年の春に一度だけ
その花を咲かせることができたのです。

一日目
あのひんやりとした風の枕が恋しくなりました。
二日目
あの憂いを含んだ夕暮れのカーテンが恋しくなりました。
三日目
あの澄みきった青のブルースがたまらなく恋しくなり
ついに力つきて眠りに落ちてしまったのです。
ナマヌルイノヨー。ムニャ。


こうしていつもと違う体験をした秋桜子さんですが
今年の秋もその花を咲かせました。
すこし寝坊はしましたけれど。
そしてもう桜子さんのことを
うらやましく思っていたことは忘れてしまっていました。
秋桜子さんは、自分の暮らす「秋」のすばらしいところを
たくさん知っていたのです。



それぞれにはそれぞれの季節があるのでしょう。