月極フランスガム花詩集5 10月とキンモクセイ
キンモク・セイラさんは
毎年ギンギンギラギラの夏の日ざしがやわらかくなった頃
みどり色のドレスを身にまとい
ここに現れるのです。
彼女が歩くとあたりにはふわりとよい香りが漂います。

キンモク・セイラさんの恋人のアキノ・ソラくんはこう言いました。
「どうして君はこの時期にしかそばにいてくれないノサ!
 僕は一年中その香りをかいでいたいノニ!」

「だって一年365日8760時間525600分31536000秒間
 アイシテルっていわれたら嫌になっちゃうでしょ?」

そう、キンモク・セイラさんの愛は
それはそれは熱いものだったのです。
それなので一年に一度だけこの時期に
凝縮した愛をふりまきにやってくるのでした。
オレンジ色をしたとてもよい香りのする愛を。


「あなたが大声をだしたり(大雨を降らせたり)したから
 わたしはもう行かなくてはならないわ!」

彼女が去った後には
オレンジ色の愛がたくさん散らばっておりました。
アキノ・ソラくんはそれを拾い上げると
ため息をひとつつき、またどこかへひとり、旅にでるのでした。

また来年ふたりが会えますように。
くしゃみで原稿用紙が何度も飛んだ為、物語のはじまりが遅れてしまいましたが密やかに続けてゆきますのでどうぞ宜しく。