月極フランスガム花詩集6 12月と山茶花
さざんか さざんか 咲いたみち たきびだたきびだ、の唄で
よく知られた、サザンカ・サザンコさんは
毎年たき火をする落ち葉の季節に
濃いピンク色のスカートをはいてやってくるのです。
サザンコさんはおとなしく控えめな娘でした。

風もいよいよ冷たくなってきたある日
スカートのくたびれたところを花びらのようにはがしながら
サザンコさんは考えました。

アタシ、もっと目立ってもいいのじゃないかしら。
こんなピンク一色だなんて、ツマラナイワ。
ツマラナイ女で終わるのはイヤヨ!


そうしてサザンコさんは自分のピンク色のスカートを
赤や青や黄や緑や紫や白や橙やグレーに染め
まるで色とりどりの花びらのようなスカートへと仕立て上げました。


どうかしら、アタシ目立つかしら、コレデ
あの方のお目にもとまるかしら
(サザンコさんはアサノ・モヤくんに惹かれていたのです。)

さて次の日は朝から冷たい雨でした。
サザンコさんの色とりどりのスカートは雨にうたれ
地面に真っ黒なしずくをにじませました。
(たくさんの色を混ぜすぎると、最後には真っ黒になるのをご存じ?)

まあキタナイ!もう誰にも会えないわ!

サザンコさんは悲しくて悲しくて一日中雨の中で泣きました。

次の日になると雨はあがっておりました。
泣きつかれて眠ったサザンコさんの前を
いつものように早起きのアサノ・モヤくんが通りかかりました。

「やあ、サザンコくん。
この季節に君のあざやかなピンク色のスカートを見かけるとうれしくなるよ。
周りは枯れ葉ばかりだからね。
おっといけないもう消える時間だ。それにしても君はお寝坊だね」


サザンコさんは夢なのか現実なのかよくわからないまま体を起こすと
昨日の真っ黒なスカートが元へ戻っているのに気づきました。

やっぱりこれでいいのだわ。

サザンコさんは雨にぬれたスカートを花びらのようにはがし
大きな欠伸をひとつしました。
あざやかなピンク色のスカートが朝の街によく映えました。
そうしてまた一日がはじまるのです。
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